前に、トランジットって何?という記事で、動かない出生図の上を、今の空が天気のように流れていく話を書きました。今日はその実践編です。実際に、今の空が自分のチャートのどこを通っているのかを、自分で見てみる手順を書きます。
トランジットは「今の空 × 自分の図」
おさらいから。出生図は生まれた瞬間の空を写した一枚の地図で、一生変わりません。トランジット(運行中の天体)は、今この瞬間も動いている空のこと。この二つを重ねて、今の空が自分の生まれたときの地図のどこに当たっているかを見る。これがトランジットを読む、ということです。
大事なのは、どの天体が今どの星座にいるか、を暗記することではありません。それは日々変わるし、調べればすぐ出ます。読みたいのは、その動きが「自分の」図のどこに触れているか、です。同じ「月が天秤座」でも、天秤座が自分のチャートのどの部屋に当たるかで、手触りはまるで変わります。
まず、動きの速い天体から
トランジットを自分で読むとき、いきなり全部を見ようとすると迷子になります。おすすめは、動きの速い天体から順に見ることです。
一番身近なのが月。月は二日半ほどで一つの星座を通り抜けます。今日の月が自分のチャートのどの部屋を通っているかを見ると、その日の気分の色みたいなものが少し見えてきます。次に太陽。太陽は一つの星座におよそ一ヶ月。今の太陽が自分のどの分野を照らしているかは、その月のテーマの手がかりになります。
木星や土星のような遅い天体は、一つの星座に一年から数年いるので、もっと長い季節を作ります。ここは焦らず、まずは月と太陽の速い動きに慣れるところからで十分です。
星道の三重円で重ねて見る
この「今の空 × 自分の図」の重ね合わせを、星道では三重円という形で見られます。出生図・プログレス・トランジットの三つの層を同心円に重ねて、一番外側の輪に今の空の天体が並びます。
見方はシンプルで、外側のトランジットの天体が、内側の出生図のどの天体やどのハウスの近くに来ているかを眺めるだけです。ぴったり重なっているところがあれば、そこが今いちばん動きのある場所。角度を結んでいるところは、少し張りのある場所。細かいルールは後回しでよくて、まずは「今、自分のここが動いているんだな」と眺めるところから始められます。
出来事の予報より、自分を見る角度として
トランジットを自分で読めるようになると、つい「これから何が起こるか」を当てにいきたくなります。でも、トランジットがいちばん効くのは、そこではありません。
今の空が自分のどこに触れているかを知ると、自分がなぜ今この感じなのか、を確かめる手がかりになります。妙に落ち着かないとき、やけに動きたいとき、その背景に今の空の動きがあると分かると、その気分と少し距離が取れる。トランジットは、外の出来事を先読みするためというより、今の自分の状態を映してくれる鏡として使うと、長く付き合えます。
次に自分のチャートを開いたら、今日の月が自分のどこを通っているか、一つだけ見てみてください。それを何日か続けると、月の動きと自分の気分のあいだに、うっすら線が見えてくるかもしれません。